アルコール依存症を支える家族の回復。最優先にする治療とは?

どうも、こんにちは。

精神科作業療法士の大祐です。

 

アルコール依存症治療病棟での担当している時に、よくある相談の一つに家族が病院の受診を拒否するということが大きな問題があります。

 

本人は病気を認めないので、なかなか受診しようとしない。 しかし、家では朝から酒を飲み続けており、暴言や暴力があったりと家族も怖い思いをしている人がたくさんいます。

 

家族としての悩みは非常に深く、誰にも相談できずに世間の目を気にして苦しんでいる現状にあります。

 

なので、本人が病院には受診することなく、家族だけが受診して悩みを話すということもあり、医療現場としては「まず、本人をここで連れてきてください。」ということも多かったように思います。

 

家族の立場からすれば、「連れてこれるなら苦労しない・・」という思いが強くあったでしょう。

 

近年、アルコール依存症治療の一歩として、まず家族への精神的治療にも目が向くようになってきています。

 

アルコール依存症を支える家族の回復が最優先するべき治療です。

 

ここでは、これまでの医療現場の家族支援とこれからの家族支援について書いていきます。

 

これまでの家族介入

以前までの医療現場としての家族の人の対応として多かったのは
・依存行動をやめさせるようにしないこと
・イネーブリングを辞めること
・シラフの時に、受診をすすめること
・家族会〜自助グループに参加を勧める
・「底つき体験をするまでどうしようもできない」

というものでした。

 

ここに書いてあるのものを共通点として、家族に対して「〜してはいけない」を強調していたことにあります。

 

このことによって、家族はますます、自責感を強くしてしまい、医者に言われた指示が実行できないと落ち込み、その結果、家族が我慢すればいいという悪循環に陥ってしまっていました。

 

そして、家族の人アルコール依存症の夫や嫁、父や母をなんとかしようと苦しみの渦に入ってしまいます。

 

その中で多くのやりがちで効果のない行動を起こしてしまいます。それが「しすぎる罠」です。

 

8つのしすぎる罠

1,先に言い過ぎる
2,言葉が多すぎる
3,正しいことを言い過ぎる
4,答えを出しすぎる
5,相手を荒が見えすぎる
6,先回りして考えすぎる
7,感情的になりすぎる
8,起きていないことに恐れすぎる

このような行動を起こしやすくなります。これで読むあなたも一つや二つ該当するかもしれません。

 

家族からしてみれば必死なので、こういう行動を起こすのは無理もありません。

話しを聞いていると、本当に今までよく頑張ったなと胸の痛い思いをすることがあります。

 

さらにエスカレートしてくると、怒る、説得する、大声をだす、批判する、説教する、小言を言う、無視をする、脅す、非難する、泣いて懇願する。という行動にもでます。

 

しかしながら、この方法では効果がないことが多いのが現状です。

 

それでも、他の方法が分からないので、家族も精神的に疲労困憊となり、最悪、家族もうつ病などの病気になってしまうこともあります。

 

これからの家族介入

家族が疲弊している状況がわかっていながら、本人が受診しないと、どうにもならなかった医療現場としての認識がありましたが、最近は家族への精神的フォローがとても重要視されています。

 

それは、家族が倒れてしまったら誰もアルコール依存症の人を病院に繋げることができなくなるからです。

 

家族の心の傷を癒やすこと、しっかり今まであったことを傾聴すること。そして、家族と共にどうやったら受診しやすくするために手法を伝えるようになってきました。

 

家族に質問して一緒に考えている項目

それがこれです。

・どんな問題が起きているか
・飲酒量は
・いつ、飲んでいるのか
・休みの日は朝から飲酒しているのか
・内科的な病気はあるか
・本人は飲酒の何がよいのだと思っているのか
・本人にとって飲酒のメリットって何だと思うのか
・本人は酒を飲む現状を本心ではどう思っていると思うか
・素直に助けを求めてくると思うか

 

下の4つの質問は家族からしてみると考えたこともなかったことなので困惑することが多いのですが、家族に迷惑をかけるまで飲み続けてしまう本人の気持ちを一緒に考えていきます。

 

そして、もっとも重要なことを確認します。それは暴力の有無です。

 

これは、殴る、蹴るなどの物理的な事にとどまらず、モノを投げるとか、経済的にお金を出さないとか、言葉の暴力も入ります。

 

暴力の有無を聞くと、ある家族は「私がいけないから暴力をふるわれてもしょうがない」ということを言う人がいました。

 

これは全くの間違いです。

 

どんな暴力でも受けた原因が家族であるあなたにあるのではありません。

どんな事態であったとしても暴力を振るう本人の問題であるということです。

 

まとめ

アルコール依存症を支える家族の回復が最も大切なことについて書いてきました。

 

家族は日々の生活の中で、肉体的にも精神的にも疲弊しています。

 

家族も、最初はあの手この手で病院に受診させようとしますが、なかなか上手くいかずに苦しんでいることが多いです。

 

その方法があまり効果のないことであることが多く、それに気付いていない家族はどんどん追い込まれていきます。

 

アルコール専門病院では、そんな悩みを強く抱えている家族の支援を以前に比べもっと手厚く全面的に支援するようになってきました。

 

なので、今どうしたらいいか悩んでいる人はぜひ、病院に相談にきてください。

 

悩みを聞いてくれますし、本人が病院受診するためのノウハウもお伝えしています。

これはコミュニケーション技術になるのですが、効果が非常に高いことが実証されていますのでぜひ、知ってほしいと思います。

 

アルコール依存症の人をもつ家族は絶望感でいっぱいになっていることが多く、安定して生活を遅れていない人もたくさんいます。

 

一人で悩まずに病院に電話相談でもかまいません。家族であるあなたの健康を守ることも、アルコール依存症の人の治療の第一歩となることをぜひ、覚えておいてください。