統合失調症は陽性と陰性の症状。同時に起こる病気です。

こんにちは。
精神科作作業療法士の大祐です。

本日は精神科では非常にたくさんの方が統合失調症の症状について悩んでいることを書いていきます。

 

統合失調症には陽性と陰性の二つの
全く違う症状があることが大きな特徴です。

 

統合失調症の特徴の1つは、神経のバランスが崩れ、
精神面に障害が現れる結果、日常生活を送ることが困難になり、

「生きづらさ」を感じることです。

 

こうした「生きづらさ」の背景には、
「陽性症状」と「陰性症状」の2つの基本的な症状があります。

陽性症状とは、本来ないはずのものがあると言う意味で、
「幻覚」や「妄想」などが代表的なものです。

 

統合失調症を引き起こす原因には、
ドーパミンという脳の神経伝達物質の活動異常が
深く関わっていると言われています。

 

ドーパミンは、意欲、感情、記憶、
体を動かす運動系、食欲中枢といった
大切な部分と深く関わる物質で、

陽性症状は、このドーパミン神経の活動が
過剰に活発になることと関係していると考えられています。

 

もう少し詳しく説明すると、
ドーパミンによって情報伝達している神経経路にはいくつかあり、
それぞれの異なった機能を持っています。

 

その神経経路の1つである「中脳辺縁系」という場所で
ドーパミンが過剰に放出されると、
幻覚や妄想などの陽性症状が引き起こされ、

逆に「中脳皮質系」の場所で、
ドーパミンの機能低下が見られることがわかってきました。
それによって、「意欲減退」「感情鈍麻」「自閉傾向」などの
陰性症状が現れるとされています。

 

このように、統合失調症では、
中脳辺縁系ではドーパミンの機能の過剰が、
中脳皮質系ではドーパミンの機能低下が引き起こされるために、

陽性症状と陰性症状という、一見相反する症状が
同時に現れると考えられるのです。

 

統合失調症では、病気の初期(急性期)には陽性症状が前面に現れ、
長期になる連れて(慢性化するにつれて)
陰性症状が目立ってくるという傾向が見られます。

 

幻覚は、妄想等と同様に、陽性症状の1つです。

 

「五感」が乱れ、存在しないものを知覚する
幻覚とは、現実ないものがあるように感じることです。
奇妙なものが見えたり、実在しない音や声を聞いたり、
嫌なにおいや味がしたり、普通なら感じない異常な感覚を体に感じたりするなど、
見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れるの
人間の「五感」に対応する様々な幻覚が見られます。

 

幻覚の中でも多く見られるのが、
実際には聞こえるはずのない声が聞こえてくる幻聴です。
聞こえてくるのは、自分の声の場合もありますが、
多くは「他人の声」です。
統合失調症である幻聴には、次のようなものがあります。

 

・自分に対する悪口や噂が聞こえてくる

1人の声でなく、複数の人が悪口追いやっている場合もあります。
「あれをしろ」「これをしろ」と
行動を指示する声が聞こえてくる。
または、
存在しない声が自分に話しかけてきて、
それに受け答えする。あるいは、
他人と他人が自分のことを話しているのが聞こえる。

 

・自分の行動や思考にいちいちコメントを加えてくる

自分の考えていることが外から声となって聞こえてくる聞こえ方で
水道や、空調音、車の騒音とともに声が聞こえてくる。
音が止まると止まることがある

幻聴は、様々な聞こえ方をします。
普通の会話と同じように聞こえたり、症状が重い場合は、
神の啓示にも似た強い強制力、呪縛力をもって超える事もあります。

人によっては、声ではなく「テレパシー」や「電波」のように
感じると言う人もいます。

幻聴が活発に聞こえるようになるとその内に
完全に無視することができなくなり、
患者さんの行動に様々な影響与えます。

最も問題となるのが、具体的に行動を
命令する声が聞こえる場合です。
例えば「眠るな」とか「食べるな」といった命令もありますが、
「ビルから飛び降り男」「自殺しろ」
あるいは「相手の顔殴れ」といった行動の
命令のような声が聞こえてくる場合があり、
声に圧倒されて命令に従ってしまうこともあるので、
注意が必要です。

ただし、統合失調症の症状が現在は薬の影響もあり
軽くなってきていますので幻聴や妄想による自傷、他害と
いった激しい症状を示すケースはそれほど多くありません。

また治療によって症状が軽くなるにつれて幻聴の頻度も減り、
内容も次第に意味がないようなものになって、最終的な消滅します。

なお幻聴は自分を非難したり、悪口を言ったり、
命令をしたりする内容です。
こういった体験を不快感や恐怖感、不安感を伴うために、
ほとんどの患者さんが幻聴について
あまり語りたがらないという傾向があります。

 

本来あるはずのものがない「陰性症状」

一方の陰性症状とは、本来あるはずのものがないと言う意味で、
「感情が乏しくなる」「精神の柔軟性が失われる」
「意欲が減退する」「集中力が低下する」といった症状が
これにあたります。1日の大半をぼんやり座り込んで過ごす
「無為、自閉」の状態になるケースも見られます。

同じ病気でありながら、陽性症状と陰性症状と言う
全く性質の異なる症状が同時に現れると言うのは不思議に思いますが、

これはドーパミン神経の活動異常が
脳の部位によって異なることが原因と考えられています。

 

陰性症状は、精神的エネルギーが低下した状態といえます。
なお、陰性症状は、脳の前頭葉の機能低下が原因と考えられています。
主な原因症状として次のようなものがあります。

 

・感情の平板化
感情の起伏はなくなり、喜怒哀楽の表現がうまくできなくなります。
表情の変化も乏しくなり口数も減ってきます。

 

・意欲の減退
意欲や気力が低下し、周りのことに興味や関心を示さなくなります。
職場も休みがちになり、1日中家の中で特に何もしないで
過ごしていたりします。
整理整頓、入浴や洗面、身だしなみなど、
身の回りのことに無頓着になります。

 

・自立性の低下
人から言われた事はできますが、
自分自身で行動することが難しくなります。

 

・集中力持続力の低下
根気や集中力がなくなり、
同時に2つ以下のことをすることが困難になり疲れやすさを訴えます。

 

こうした陰性症状が長く続くと、
日常生活や社会生活を送る上での障害が残り「生きづらく」なります。

治療などに陰性症状だけが残ることも多いので、
社会復帰のためには、この症状の改善が非常に重要です。

 

また、陰性症状はなかなか症状として認知されづらく、
「怠けている」「努力が足りない」などと見られてしまいがちですので、

家族など周りの人は症状だと言うことを理解する必要があります。

ただし陰性症状は、うつ病など他の病気で見られる症状と区別が困難なため、
この症状だけで統合失調症と診断することができません。

 

まとめ

統合失調症には陽性と陰性という二つの全く違う
症状が同時に起こるというこを書いてきました。

どうしても難しい言葉が多くなっていますね。。
ただ、全部覚える必要はありません。

いろいろと専門的な視点で書いてきましたが
このことだけ覚えてもらっていたら嬉しいです。

それは
統合失調症には
陽性と陰性という相反する症状が同時にでる
病気であるということ。

特に陰性症状は家族や周りから見ると
全くやる気がないだけというふうに勘違いされやすいです。

しかし、これが症状なんだと思えたら
見え方と変わってきますよね。

ぜひ、これだけでも覚えてもらえると
非常に嬉しく感じます!!