どうも。精神科作業療法士の大祐です。
精神病における治療の代表は
なんといっても薬物療法です。
この薬物療法は個人差がかなり
ありますので、本人にあった
薬と量が必要になります。
このあたりのことは
精神科医が本人の状態を
見ながら考えた上で処方しています。
作業療法の中でもグループで
薬に対してどんな気持ちをもっているか
というテーマで
患者さんと話すことがあります。
その中でも薬に対する考えに
ついてそのときの体験談を
交えながらうつ病の薬の効果について
書いていこうと思います。
大きく分けて2つの使い方
定形精神病薬と非定型精神病薬というのがありますが
このあたりの話しをするととても専門的で
難しくなるので患者さんの日頃よく言う
精神安定剤と言う言葉を使っていきます。
精神安定剤
こちらはその名の通り、精神を安定させ
不安や緊張などを抑えてくれるものです。
1日に飲む回数とタイミングが決まっていて、
ほとんどが錠剤タイプであり水やぬるま湯で
飲みます。
精神安定剤を毎日キチンと服用している間は
プラシーボ効果もあるのかもしれませんが
特に何か大きなことが起こらない限りは
いつもより軽い気持ちで過ごすことが出来ます。
ただ、飲み忘れてしまったり
途中で薬を服用することをやめてしまったりすると
その反動が大きいこともあります。
決められたルールを守って飲むことが
何よりも大切です。当たり前ですがそれが
精神安定剤をよりよく服用するコツです。
これは患者さんの体験談ですが、
夜薬を飲まずにそのまま寝てしまい
朝も寝坊しそうで薬を飲まずに出勤してしまった。
その日は酷い抑うつ状態が続いてしまい
仕事に支障が出そうだったのでしんどかったという
話しをしてくれたことがあります。
頓服薬
頓服薬といえば熱の時に使うものを想像しますが
うつ病に用いる頓服薬はより
即効性に優れた精神安定剤のことです。
大前提として頓服薬というものはうつ病による
急な不安や緊張が起きた時に使うものです。
常用するのには依存などのリスクが高い薬です。
どうしても症状が酷い時に頓服薬を服用すると
だいぶ気持ちが楽になります。
ですが気持ちが楽になるからといって
日常的に服用してしまうと、薬自体に耐性がついてしまい
本当に必要な時に効果を得られなくなってしまう
可能性が生じます。
ですので頓服薬は、大事な時にだけ飲んでください。
間違った使い方は厳禁
適切な薬の服用は症状を緩和していく上で
非常に大きな役割を果たします。
しかし、うつ病の方の場合、
こういった薬を誤った使い方で服用してしまう
ことがあるのです。
うつ病では一番起こりやすいと言われている
自殺企図です。
その一つにODというものがあります。
ODというものを聞いたことがありますか?
ODとはオーバードーズという
薬物の過剰摂取のことです。
うつ病の人は抑うつ状態や極度の不安状態に陥った時に
もう死んでしまいたい、という感情を抱きます。
その結果手元にある精神安定剤を過剰摂取して
死んでしまおう、と考えることがあります。
ですがまず大前提として
ODをすることで死ねる!なんてことはありません。
とにかく気持ち悪くなり
高熱に魘された時のような浮遊感を感じますし、
ひどい場合は辛い思いをしながら胃洗浄。
最悪の場合は後遺症が残ってしまう、なんてこともあります。
薬の致死量というものは
私達が思っているよりも遥かに多く
ODをして残るのはとにかく具合が悪くなることと
死ねなかったことに対する絶望です。
正直良い思いが出来るとも楽になれることもありません。
処方された薬は
適切な量を適切なタイミングで服用することで、
不安や緊張を緩和するために使ってください。
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その他の治療の併用
適切な薬物療法を行いつつ
同時におすすめするのがストレスを発散する技術です。
それが認知行動療法という
考え方の幅を広げる治療です。
考え方がネガティブな方向に偏る傾向が
強いうつ病にとっては
まず受け止め方に自分が感じること以外にも
捉え方はあるということを知ることが
とても大切です。
私達が何か物事が起こったときに
瞬間的にこういう意味でいってるのではないかと
感じるのを専門用語で
自動思考と呼びます。
この自動思考は自分の感じたことが
絶対に正しいと勘違いしやすいのです。
病気で考えに偏りがある場合
この受け止める認識は
極めて事実とは違う受け止め方をしてしまうものです。
よってストレスをためやすくなるので
認知行動療法という治療を受けることで
自分だけでは思いつかない考えであったり
捉え方だったり感じ方ができるようになります。
これは余計なストレスを感じないためにも
非常に有益であると私は体験から
強く思っています。
まとめ
うつ病の薬の効果について
実際にうつ病で入院している患者さんの
声を交えながら書いてきました。
今の薬は
比較的副作用も少ないですが
効果を実感するまでに
多少の時間がかかることがあります。
これも個人差がかなりあるので
自己判断せずに病院で主治医に
相談することがとても大切です。
薬物療法は体と心のバランスを
整えるためにも非常に有効な
手段です。
適切に活用することで
回復も早くなります。
しかし薬物療法だけでは
治療は不十分です。
ここに作業療法や
認知行動療法などの思考の幅を広げたり
視点を切り替えたりストレス発散する技術を
身につけることも大切です。
あなたがストレスを受けた時に
どう対処するのかを学んでいると
その瞬間がきたときもスムーズに
対応することができるようになります。
薬の効果は大きいものですが
さらにその効果を高めるための
治療を受けてより生活しやすくすることが
病気と共に過ごす時間の有効的な使い方です。