アルコール依存症の治療。現場で実際取り組んでいる事

こんにちは。
精神科作業療法士の大祐です。

今回はアルコール依存症の治療について実際に病棟で
行われていることを紹介していこうと思います。

 

まず最初に行われる治療なんですがなんといっても
「解毒」です。

解毒とは体の中からアルコールを完全になくす事を指します。
これは離脱症状の回避であり、
時間で言うと1週間程度で離脱期を乗り切れます。

 

程度によってはビタミンの補充や水分補給、
さらに離脱症状抑えるために薬を使うこともあります。

解毒するとかなり体がスッキリして「もう大丈夫」と思いがちですが、
解毒だけではアルコールの治療としては十分ではありません。

むしろ解毒の後の治療が最も大切です。
解毒の後には酒を飲まない生活(しらふの生活)を続ける事です。
これは依存症の方にとっては非常に大変なことです。

 

なぜなら今まで酒が生活の大部分を占めていたので
飲酒なしの生活は想像以上に辛いからです。
酒から離れた生活を新たに作り上げていく必要があります。

だからこそ、いろいろなサポートを経ながら断酒を続けていくことが
断酒継続=回復につながることになります。
主な治療手段として入院治療で行っている事は
認知行動療法です。
他にも内服治療自助グループ参加と言うものがあります。

 

一つずつ説明します。

認知行動療法とは

そもそも認知とは物の受け取り方考え方を指します。
アルコール依存症はお酒に対しての考え方に歪みを生じていることが
多くこの歪みに気づいて修正していくことが大切です。

 

考え方の歪みにはいくつかタイプがあります。

①問題否認タイプ
「自分には飲酒問題がない」
「自分はアルコール依存症ではない」
「他の人の方がお酒で問題起こしている」

②節酒派タイプ
「自分ならうまく飲める」
「しばらくやめる。でもたまに飲む位なら大丈夫」

③投げやりタイプ
「酒を止めても良い事は無い」
「どうでもいい」

④断酒簡単タイプ
「自分1人で酒はやめられる」
「いつでもお酒は止められる」

 

上記に挙げたような考えの歪みに気づくこと、
お酒に対する考え方の歪みがあるとアルコール依存症の
悪循環のパターンに陥ってしまいます。

認知行動療法=認知と行動を工夫してお酒が離れる習慣を作り上げていくことです。

 

いくつかのワークについてご紹介します。

まず自分が普段お酒の飲む量を書き出します。

そして1日の生活を振り返ります。
例えば飲酒していた時間、仕事の時間、娯楽の時間などに
飲酒をどのぐらいしていたかを振り返ります。

次に飲酒と断酒の良い点悪い点をそれぞれ上げていきます。
これは、例えばですが

飲酒の良い点は、ストレス解消。
飲酒の悪い点は、肝臓壊す。

断酒を続ける良い点は、家族との関係が良くなる。
断酒を続ける悪い点は、飲まない言い訳が必要
など自分に生活と考えを振り返って考えていきます。

他にも
・飲酒欲求への対処であったり
・社会的なプレッシャーを感じる状況と対処方法、
・もしもの時にどう備えるか、
・ストレスにどう対処するか
など個人の生活に合った対処方法を考え取り組んでいます。

 

内服治療

解毒後の治療手段のうちの1つにして抗酒剤があります。
使い方として、
①朝に毎日内服→1日飲酒しない決意を持つ

②飲みそうな危険のある時に内服する

③家族の前で内服することで家族に安心感を持ってもらう。


ここで注意点があるのですが抗酒剤を試し飲みしようとする人がいますが、
飲んだ後に飲酒すると救急搬送されるぐらいひどい効果が
出るので絶対にしてはいけません。

 

自助グループ参加

1人で酒を止めていく事はとても大変なので
酒を使わない仲間たちと一緒に断酒を目指す。
そういう目的を持ったグループのことをいいます。

ここで話題にされる事は参加者が飲酒していた頃にどのような問題があったか、
断酒している現在はどのような新しい生活を送っているかを語る場所です。
そしてほとんどの人が試行錯誤しながら今でも断酒を続けて行っている
人です。そのそれぞれが試行錯誤を知る場所でもあります。

アルコール依存症を患う人は非常に自尊心が低下していますし、
病気の偏見を受けることも多いのですが
自助グループはどんな酒害に悩んでいる人も受け入れてくれます。
もちろん、酒害に悩む家族も受け入れてくれます。

自助グループは、全国にありますので
ネットで、断酒会、AAなどと検索すると近くで取り組んでいる団体が見つかると思います。

 

まとめ

 

アルコール依存症の治療にはまず1番に解毒です。
解毒が進むとそこから本格的な治療が始まります。
今までの人生でお酒と共に合った暮らしを振り返り、
新しい生活を作り上げる。それを1人では難しいので、
同じ悩みを持つ人と試行錯誤しながら治療を進めていきます。

なかなか病気の性質上、相談しにくいと
思われている人がほとんどですが専門病棟にいて
いろいろな患者さんを見て感じたことは

アルコール依存症になったのは

「あなたのせいではありません」

もちろん、家族の責任でもありません。

ぜひ、このことを覚えておいてください。